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高松地方裁判所 昭和43年(わ)325号 判決 1969年4月16日

本店所在地

香川県小豆郡土庄町甲五四二番地

商号

四国フエリー株式会社

代表者代表取締役

堀本文次

本籍

香川県小豆郡土庄町甲五四二番地

住居

右同

会社役員

堀本文次

明治三六年九月一五日生

本籍

香川県小豆郡土庄町甲五〇五番地

住居

高松市玉藻町二九番地

会社役員

堀川浩洋

昭和八年五月一八日生

本籍

香川県小豆郡土庄町甲三二一八番地

住居

右同町甲五九三一番地

司法書士

山下泰治

昭和二年八月一六日生

右四名に対する昭和四三年(わ)第三二五号法人税法違反被告事件につき当裁判所は検察官堀川和男立合の上審理し次の通り判決する。

主文

被告人四国フエリー株式会社を罰金二五〇万円に、

被告人堀本文次を罰金二〇万円に、

被告人堀川浩洋を罰金一〇〇万円に、

被告人山下泰治を罰金五〇万円に、各処する。

被告人堀本文次、同堀川浩洋、同山下泰治において右の各罰金を完納することができないときは何れも金五、〇〇〇円を一日に換算した期間当該被告人を夫々労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は船舶による自動車及び貨物並びに旅客の運送事業を営業目的とする資本金三、〇〇〇万円の株式会社であり、被告人堀本文次は被告会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているもの、被告人堀川浩洋は被告会社の取締役兼高松営業所長として同会社の経理業務を担当しているもの、被告人山下泰治は税理士としてその業務を行うかたわら、被告会社の委嘱を受けて継続的に同会社の経理に関する帳簿の代理記帳、決算事務並に税務申告事務等に従事していたものであるが、

第一、 被告人堀川浩洋、同山下泰治は共謀の上、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て収入の一部を除外し、架空借入金、架空支払利息等を計上するなどの不正な方法によつて、所得を秘匿したうえ、昭和四〇年四月一日より同四一年三月三一日までの事業年度において、同会社の真実の所得金額が二、五六二万九、八二六円であつたにも拘らず、昭和四一年五月三一日香川県小豆郡土庄町所在の所轄土庄税務署において、同税務署長に対して所得金額が一、四〇五万四、五二九円であつて、これに対する法人税額が四七〇万二、九二〇円である旨の虚偽の確定申告をなし、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額八九七万九、七〇〇円と右申告税額との差額四二七万六、七〇〇円を逋脱し、

第二、 被告人堀本文次、同堀川浩洋、同山下泰治は共謀の上、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、収入の一部を除外し、架空借入金、架空支払利息等を計上し、或は薄外預金を設定するなどの不正の方法により所得を秘匿した上、昭和四一年四月一日より同四二年三月三一日までの事業年度において、同会社の真実の所得金額が三、六九二万九、七一一円あつたにも拘らず、昭和四二年五月三一日前記所轄土庄税務署において、同税務署長に対して、所得金額が二、〇七六万〇、七四九円であつてこれに対する法人税額が六七九万九、二二〇円である旨の虚偽の確定申告をなし、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額一、二四五万二、四〇〇円と右申告税額との差額五六五万三、一〇〇円を逋脱したものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一、 被告人堀本文次、同堀川浩洋、同山下泰治の当公判廷における各供述及大蔵事務官に対する各質問てん末書、検察官に対する各供述調書

一、 被告人堀本文次、同山下泰治の各上申書

一、 被告会社の登記薄謄本二通

一、 四国フエリー株式会社作成の証明書二通

一、 大蔵事務官作成の証明書(二通)、脱税額計算書(二通)

一、 井口好弘の大蔵事務官に対する各質問てん末書及検察官に対する各供述調書

一、 堀川伝吉の大蔵事務官に対する質問てん末書及検察官に対する供述調書

一、 堀川則之、近藤和夫 豊田稔、小国政六、堀川智司、山下初次郎の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、 豊田稔、中井久雄、大林重雄、西脇信雄、松岡孝一郎、柏野栄次郎、鎌田道 海花崎治男、斉藤絆、田村与七、青江秀一、前山光正、大本満福、渡辺沢一、山形貞一、松浦元一、藤沢長一、木本大、平田猪三郎、丸山修、藤原正雄、伏見芳晴がそれぞれ作成した各上申書

一、 渡辺憲一の検察官に対する供述調書

一、 香川相互銀行小豆島支店松本武夫作成の各銀行取引内容証明書(二通)

一、 香川県信用組合土庄支店小西保清作成の手形貸付金元帳写及証明書

一、 百十四銀行土庄支店長中井久雄作成の証明書

一、 押収に係る総勘定元帳二冊(昭和四四年押第一〇号の一、二)、収納支払伝票綴(同号の三)、日記伝票綴六冊(同号の四乃至九)、試算表二枚(同号の一〇、一一)、当座勘定総合表二冊(同号の一二、一三)

(法令の適用)

被告人堀川洋、同山下泰治の判示第一の所為は法人税法(昭和四〇年法律第三四号)第一五九条、第七四条第一項、第二号、刑法第六〇条に、被告人堀川浩同山下泰治、同堀本文次の判示第二の所為は法人税法(昭和四一年法律第三二号により改正されたもの)第一五九条、第七四条第一項、第二号、刑法第六〇条に各該当するところ、いずれも所定刑中罰金刑を選択し、以上判示第一、第二の罪は被告人堀川浩、同山下泰治については刑法第四五条前段の併合罪であるから同法人四八条第二項により法定の加重をなし、その罰金額の範囲内で被告人堀川浩を罰金一〇〇万円に、被告人山下泰治を罰金五〇万円に処し、被告人堀本文次については所定罰金 額範囲内で同人を罰金二〇万円に処する。

以上被告人三名において右の罰金を完納することができないときは刑法第一八条第一項により金五、〇〇〇円を一日に換算した期間当該被告人を労役場に留置する。被告人四国フエリー株式会社については判示第一の罪についてはその使用人である被告人である被告人堀川浩(被告会社取締役兼高松営業所長)が、判示第二の罪についてはその代表者である被告人堀本文次及びその使用人である被告人堀川浩が右会社の義務に関して何れも前途の通り法人税法第一五九条に違反する行為をしたので同法第一六四条第一項により同法第一五九条所定の罰金刑を科すべきところ以上判示第一、第二の罪は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四八条第二項により法定の加重をなしその罰金額の範囲内で被告人四国フエリー株式会社を罰金二五〇万円に処することとし、主文の通り判決する。

(裁判官 板坂彰)

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